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 当社イデアのAI時間割のホームページには、最近「新AIエンジン」という言葉が出てくるようになりました。この記事は、「新AIエンジン」って何だろう、と思われた方のための記事です。
 あわせて学校時間割に関する簡単な解説と、新AIエンジンが生まれるまでのイデアのAI時間割のこれまでの改良の歴史についてお話してゆきます。

学校時間割とは 新AIエンジンが生まれるまで


 最初に、イデアのAI時間割が関わる学校時間割について説明し、イデアのAI時間割の30年近くにわたる改良の歴史、そして最後に新AIエンジンがどのように役に立つかについて述べていきます。

目次

学校時間割

(学校時間割は難しい)

 学校時間割は、学校で行われる全ての授業のスケジュールを先生・生徒(クラス)・施設(教室)に矛盾無くまとめ上げたものです。この学校時間割の作成は、体験した人しか分からない、思ったより難しい作業です。

 その昔、ご自身が学校の生徒の時代に受け取った時間割を思い出して下さい。たとえば日本史の授業は1日には1回だけではなかったでしょうか。音楽室や体育館もいつも、他のクラスとは重ならずに程よい人数で利用できていたはずです。そう、授業がスムーズに行えるように、配慮されていたのです。

 時間割では、先生の事情も考えなければなりません。先生の事情とは、授業の準備のために1日に担当する時間数が多すぎないよう制限があったり、先生によっては出張があったり、ALTの先生は非常勤で出勤できる曜日や時間が限られていたりするなど、意外に多くの制限がかかってきます。もちろん、会議や研修への対応、最近では定年後再雇用の先生についての配慮も必要になってきています。

(昔の時間割作成)

 パソコンが普及する前は、この作業をほとんどの学校で教務の時間割係の先生が行っていました。駒盤という道具や紙と鉛筆と消しゴムを使って複数の先生で協力して作ったり、ベテランの先生が条件を聞いて、時には数日徹夜に近い努力で作成したりしていたようです。

 駒盤を使って複数人数で時間割を作ると、多くの先生の意見が反映された良いものができる反面、とても長い時間がかかっていました。高校などでは5人以上で1週間から2週間かけて作るといった事もざらにあったようです。

(手作業の時間割作成の問題)

 ベテランの先生が時間割を作る場合は、一人の先生に負担が集中してしまいます。時間割を作る年度末や年度初めの時期は、どの先生もとても忙しい時期です。その時期に時間割を作り上げるということは、まさに「自身の血や肉、命を削って時間割を作っているようなものだ」という話も聞かれるほどのことです。
 忘れてはならないこととして、先生には転勤と定年がつきものだということがいえます。ある年、ベテランの先生が他校に転勤したがために時間割を作れない、という事にもなりかねません。また、最近は教育課程も複雑になってきています。
 パソコンが学校に普及し始めてから、もしかしたらパソコンで学校時間割を作れるのではないかと、学校時間割用のプログラムが作成されるようになりました。これまで、超大手から個人まで、とても多くの開発者が時間割用のプログラムを作り公開してきています。

イデアのAI時間割のこれまで

(AI時間割の「AI」は専門知識のシステム化)

 そもそもイデアのAI時間割のAIは、学校時間割の専門知識を持った人の思考をプログラムに取り入れる事から始まりました。時間割編成では、同時に配慮しなければならない条件がとても多数になり、しかも評価をしながら最適解を求めるという職人技のような作業が行われなければなりません。
 イデアのAI時間割にすべての情報を入力したあとは、あたかも経験豊富な時間割作成の専門職の人が時間割を作ったかのように、難しい条件を満足する時間割ができる事を目標として、毎年毎年プログラムの改良を続けてきています。

(教育現場の声に応えてきたAI時間割)

 イデアのAI時間割では、手作業での時間割作成の手順や発想をなるべく生かすようにも配慮しています。時間割を作り始めてから発生する持ち手の変更や使用教室の変更などにも柔軟に対応します。これらは最初の設定手順や、時間割が完成したあとの調整の手順にも反映しています。
 これまでに、多くのユーザ様から多くのご協力を頂いています。また時間割作成の際のサポートなどでも、幅広い学校の先生のご意見を伺い、しっかり受け止める努力を続けています。
単にご意見をお聞きするだけでなく、そのご意見をもとに更に発展した内容で、AI時間割に実を結ぶことができています。30年近く地道に続けてきた結果、全国の学校・先生に支持される能力の高い時間割ソフトに成長してきました。

(画期的な振替提案)

 振替提案は、イデアのAI時間割独自の初期バージョンからある画期的な機能のひとつで、授業の配置を交換して授業を他の時間に移動できる機能です。振替提案では複数の候補が瞬時に作成され、授業の移動の様子がグラフィックで分かりやすく表示されます。



 他ソフトでは振替提案という機能自体がなく、授業を移動する際には、重複配置されるものや、関係する授業が配置を失って浮いた状態になるといった駒移動しかできません。
 初期の頃は、AI時間割も振替提案でも5駒交換までしかできませんでした。5駒交換とは、将棋でいえば5手先読みといった感じで、5個の授業が動く交換です。
 しかし改良を重ね、2008年には21駒交換までできるようになっていました。

(振替提案の課題)

 この画期的な振替提案の次の課題は、5展開(関係する先生・クラス・科目の内、一つでも5以上のものがある)以上の授業が対象にできないというものでした。すでに21駒交換までの振替提案を行えるようになっていても、展開数の多い選択合同展開TT授業では提案をうまく見つけられなかったのです。

(5展開以上の授業の例)



 教育現場では、複数の先生やクラス・科目が関係する「選択授業」(ここではティームティーチングや少人数授業なども含みます)は、年々増える傾向にあり、同時展開数も増えてきていました。
すべての授業や選択授業を振替提案で動かせる事は、時間割作成の能力が劇的に向上する事を意味しています。

 従来、パソコンの性能も低かった時代にはどんなに良いプログラムを書いても実現は不可能でしたが、ここ数年パソコンやWindowsの性能が向上し、古いパソコンが次第に淘汰され、目指していたAIが実現できる環境になったとわかり、若手のエンジニアがAIエンジンの機能アップに挑戦することにしました。

 これが「新AIエンジン」の誕生につながりました。

新AIエンジン

新AIエンジンとは

 新AIエンジンは、従来のAIエンジンに比べてより多くの振替提案ができます。これまでのAIエンジンにかかっていた展開数の制限を外すことで、5展開以上の授業を振替提案の対象にできました。展開数が増えると、配慮しなければならない項目が増え、振替提案はどんどん難しくなります。単独の授業では、一人の先生・1クラス・1科目・1教室の配置や条件を配慮するので十分ですが、5展開の授業では、最大で5先生×5クラス×5科目×5教室の条件を配慮する必要が出てきます。単純計算で625倍になり、これが手数分重なりますので多くの負担がかかってきます。しかも時間に追われる時間割作成作業ですので、待つ事無く短時間で駒入れを終え、振替提案を作成しなければなりません。

 これを新AIエンジンは可能にしました。

(新AIエンジンでは残り駒がほとんど出ない)

 新AIエンジンは新たに学習機能が備わっており、残り駒をゼロに近づけていく「学習駒入れ」機能も搭載しました。

 新AIエンジンになってからはデータを入力して「作成」するだけでも、残り駒はほとんど発生しなくなりました。現在では、新AIエンジンの力と、新しく実装された「学習駒入れ」の機能も合わせて使うことで、ほとんどの時間割を完成できるようになっています。

 コマ入れを終えた後の変更(調整)作業でも、振替提案で多くの提案を作成できるので、これまでのものよりも時間割変更が容易になっています。これは、日々の時間割変更や臨時時間割の作成にも大変役立つ機能となっています。

 イデアのAI時間割は、皆様の応援を頂きながらこれからも夢の時間割ソフトを目指して改良と強化を続けて参ります。
 これからも、よろしくお願い致します。






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